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組織再編に伴う人事制度統合(PEファンドによる企業統合):クレイアコンサルティング


◆クライアント: 同一のPEファンドの出資を受ける専門サービス企業2社
◆実施期間: 9ヶ月

A社、B社は、ともにオーナー社長の強いリーターシップのもとに短期間で急成長した専門サービス企業であり、独自の経営方針に基づく「こだわり」のあるサービス展開によって市場で高く評価されてきました。そして、サービスの独自性と品質の高さに対する評価から、リーマンショックによる影響も最小限に抑えることができ、ベンチャー企業を含む同業他社が次々に倒産していく中でも一定のポジションを維持し続けてきました。また、両社ともに、少数精鋭のプロフェッショナルが集結していることから、平均的な同業他社と比較して、人材レベルが高いことも特徴的です。
リーマンショック以降、業界のビジネスモデル・収益構造が変化し、一定の事業規模と資金に基づく「規模の経済性」が不可欠であることが明らかになってきたため、両社のオーナー社長はこれ以上独力で成長することは不可能と判断。PEファンドからの出資を受け入れ、安定的に収益を上げることができる体制に転換していくことを決断しました。一方、PEファンドは、出資時点では両社を個別に再生する計画を持っていましたが、両社を統合することによってシナジー効果を見込めると判断。1年以内に組織統合と事業再編を行うことを決定しました。
しかし、統合準備を進めていく中で、両社の間に横たわる様々なギャップが表面化し始めます。強引に統合を推し進めると、人材流出など統合効果に悪影響が生じる可能性がある一方、現場に全面的に統合作業を委ねると、相互の意見が折り合わせない可能性が高かったため、利害関係を持たないコンサルティングファームを中立的なアドバイザーとして活用し、慎重かつ迅速に統合作業を進めることとなりました。

【1. 現状分析・基本方針策定フェーズ(約2ヶ月)】
・等級制度・評価制度の比較 (制度の枠組・実績データ・運用実態)
・報酬制度・報酬水準の比較 (制度の枠組・実績データ・運用実態)
・両社のマネジメントスタイルの比較と現在の問題点の確認・抽出
・統合に対する現場からの懸念・不安の確認・抽出
・新会社の人事制度の基本コンセプトとプロトタイプ(骨格)作り
・新会社の人事制度の統合ステップの策定とスケジュールの具体化

最初のフェーズにおいては、まずは両社の人事制度において「何が違っているのか?」について、漠然とした印象ではなく明確な根拠に基づいて定量的に把握することを目指し、各種データの分析と、両社のキーパーソンに対するヒアリング調査を徹底して行いました。この比較分析を進めていった結果、両社のマネジメントスタイルの違いや組織・人材に関する根本的な思想の違いが浮き彫りになっただけでなく、現状の問題点、改善が必要となる要素が絞り込まれていきました。その後、これらの要素に基づいて新人事制度の基本コンセプトを策定すると同時に、統合に向けたタスクスケジュールを具体化しています。

ここでのポイントは大きく二点あります。
一点目は人事制度の骨格を、意思決定に関わるステークホルダーに早期に提示したことです。通常の人事制度設計でも同様ですが、基本コンセプトづくりの段階では議論が抽象的になりやすく、想定するイメージが異なったまま検討が進んでしまい、後のフェーズである詳細設計のタイミングで議論が紛糾して手戻りになるケースが多々発生します。今回のようにステークホルダーが多く利害関係が対立しやすい状況においては、尚一層そのような状況に陥りやすいことが懸念されたため、基本コンセプト作りの早い段階から「新制度のプロトタイプ」を提示し、できるだけ具体的に議論が行えるようにしました。結果的に、抜本的な手戻りが一度も発生することなく検討を進めることができました。
二点目は、人事制度の統合を二段階のステップで進めることを決定したことです。現場へのヒアリングで明らかになったのは、これまで両社ともにオーナー社長の意向が強く反映された人事マネジメントが行われてきた為、現在の処遇に明確な根拠がなく、そのような状態のまま新会社の処遇が決定・固定化されることに対して強い不安感があることがわかりました。一方、経営側にとっても、統合後の組織において「ポスト」の数を絞りこむことが必要であり、誰が新しいポストに就くのが妥当であるのか見極めるための判断材料が不足しています。この為、人事制度の統合を一度に行うのではなく、最低限の統合を行う最初の統合日(Day1と呼びます)と、一定の観察期間をおいた上で、従業員一人ひとりについて「実力判定」を行った上で2社の処遇を統合する人事制度上の統合日(Day2)の二段階で統合を進めることになりました。これが、統合後に両社の対立が生じることなく、スムーズに新会社をスタートすることができたポイントの一つと言えます。

【2. 概要設計・Day1への移行準備フェーズ(約3ヶ月)】
・等級体系・期待役割の詳細化
・格付けの進め方と「実力判定」の基準づくり
・報酬体系の詳細化
・Day1人事制度(移行期間の仮制度)の策定
・労働条件の統一と就業規則・諸規程の整備
・社員説明資料の作成

このフェーズでは、前フェーズで定めた人事制度のプロトタイプをベースに各制度の詳細化と「実力判定」の基準づくりを中心に進めるとともに、Day1から発足する新会社へ移行できるように、労働条件の統一や社員説明の準備を同時並行で行いました。

「実力判定」の基準づくりでは、この基準を両社の現場の責任者クラスから高い信頼を得られるものにできるかどうかが今回の組織統合と新人事制度の成否を決めるといっても過言ではなく、いかに「納得感」を高めるかが最大の課題でした。そこで「プロフェッショナルを評価できるのはプロフェッショナルしかいない」という方針を打ち出し、基準づくりの初期の段階から全面的に責任者クラスからの協力を得ることにしました。この後、人事制度の統合(Day2)が行われるまで現場の責任者クラスには様々な協力をお願いすることになりましたが、初期段階から検討に参画し、かつ、自らの意見が反映されていることによって、常に、前向きに協力して頂くことができました。
一方、労働条件の統一においては、個別に現場の意見を聞いたり妥当性の是非を検討したりしても、「正しい」結論を導き出すことはできないと判断し、現場の意見を吸い上げることは最小限にとどめ、最初に統一の考え方を基本方針として設定し、残りの事項については基本方針に基づき機械的に結論を出すことを徹底することにしました。結果的に、いくつかの項目において、一方の従業員に対して不利益となる変更が生じましたが、そのような結論に至ったロジックが明確であり、かつブレが無かったため、特に大きな不満の声が生じることもなく納得して頂くことができ、スムーズな移行を実現することができました。

【3. 詳細設計・Day2への移行準備フェーズ(約4 ヶ月)】
・「実力判定」の実施と評価者間の目線合わせ ・等級別・評価別の報酬テーブルの決定 ・報酬変動ルールの詳細化 ・移行措置(報酬減給者に対する補填ルール)の策定 ・個別処遇の決定と処遇通知書づくり ・業績評価基準の詳細化 ・社員説明資料の作成 ・人事制度の運用ルールの詳細化 最後のフェーズでは、まず「実力判定」の実施と評価者間の目線合わせを行い、その後個別の処遇の決定と社員への通知に至る事前準備を行い、一定期間の移行措置を適用した上で、新制度への移行を完了させました。 ここでのポイントは、実力判定の目線合わせにおいて、徹底的に時間をかけたことです。より正確には、今回の組織統合では、例えばA社の営業部門とB社の営業部門が一つの部門に統合されることになります。この為、A社の営業部門の責任者はA社の部下だけでなく、B社の営業部門の社員に対しても「実力判定」を行い、逆に、B社の営業部門の責任者はB社の部下だけでなく、A社の営業部門の社員に対しても「実力判定」を行うという相互評価を行い、更に、両社の評価者の目線が合うまで、徹底して議論を行うことにしました。「なぜ、その評価をつけたのか?」という根拠を徹底して突き詰めていく中で、最終的には、ほぼ全ての従業員に対する目線が一致することとなりました。 結果的に、統合前よりも処遇が下がる社員も一定数発生しましたが、部門責任者クラスがその理由について自信を持って説明することができ、かつ、何を改善すれば昇格・昇給できるのかを具体的に説明できる状態まで達したため、処遇変更に対する感情的な不平・不満が組織に充満することなく、新制度にスムーズに移行することができました。

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http://www.creia.jp/service/cat185/pefund.html



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