コーン・フェリー・ヘイグループ ディレクター 山口 周氏 インタビュー

コーン・フェリー・ヘイグループ ディレクター 山口 周氏 インタビュー

ヘイグループの強み:アカデミックな知見やデータで経営と人事をつなぐ

movin:

有難う御座います。人事に関することなら、ほとんどすべてをカバーする幅の広さがあるのですね。他のコンサルティング会社と比べた、ヘイグループの強みやユニークな点はどこにありますか?

山口様:

大きく2つの独自の強みがあります。1つめは、行動心理学を基盤とするアカデミックな知見・データに裏打ちされたコンサルティングです。

ヘイグループはエドワード・ヘイ(Edward N. Hay)によって1943年に設立されましたが、社内に行動心理学を中心とする研究機関であるマクレランドセンター※1を有し、心理学をベースに人の心を可視化して、モチベーションや意識など曖昧模糊としたソフトスキルの定量化に取り組んできました。コンピテンシーモデルをはじめとする数々の人材評価手法やリーダーシップ育成メソッド、組織開発・マネジメントツールも、ヘイグループのバックボーンにあるこのアカデミックな知見をもとに生み出されたものです。

ヘイグループではこれらのグローバルで統一したMethodologyを世界中のクライアント企業で実行し、その過程で得た知見をもとに各種ツールや手法の改良を重ね、継続的に企業経営を支援しています。現在ではFortune 500にリストアップされているグローバル企業の半数以上が、ヘイシステムと呼ばれる手法を活用しています。これまで蓄積した膨大な統計データをもとに、クライアント企業のニーズを満たす高度なツール・手法の開発を継続できる点がヘイグループの強みの1つです。

※1マクレランドセンター(McClelland Center for Research and Innovation)
コンピテンシー理論を提唱したマクレランド博士が設立した組織。現在までに世界中で何十万人ものマネージャーと役員の評価、能力開発を実施

movin:

人の心を定量的に可視化するシステムのパイオニア的存在なのですね。もう1つはどのような点ですか?

山口様:

「経営戦略」と「人・組織」の"つなぎ目"をつくれる点です。人事と企業の経営戦略は密接につながっていて、弊社が担う組織変革や人材育成、報酬改定など人事制度改革の大半は、大きな経営戦略を背景にして進められます。

ただ日本企業では担当する部門が異なることもあり、経営戦略と人・組織の間に大きな溝(キャズム)が存在する場合があります。特に現在の企業は劇的な環境変化に直面しており、経営戦略の変更に伴って人事上の政策や運用をどう変えるのかという点を、1つひとつ演繹的に考えていく必要があります。この両者を先程述べた知見やデータを活用してしっかりつなぎ、経営戦略と人事制度のアライメントを取れる点が、戦略系や他の人事系コンサルティングファームにはないヘイグループのユニークな点です。

movin:

人事に関することのみならず、より包括的な経営全体の問題解決に携わっているのですね?

山口様:

そうですね。弊社と付き合いの深いお客様には、以前から戦略直結型のプロジェクトを実施することも多かったのですが、加えて近年は新たに寄せられる依頼にも企業の成長戦略に直結するタイプのプロジェクトが増えています。結局のところ、経営者の皆さんを悩ませるのは人や組織の問題なのです。ゆえに実際のプロジェクトでは、人事担当幹部のみならず、CXOクラスの経営陣との対話や議論が伴うのが常です。

ヘイグループでは他の人事系ファームに比べて戦略系のバックグランドを持っているスタッフが多く、高度に戦略的な案件から人事制度に落とし込む、逆に人の状況をもとに戦略を変えるといった、いわゆるチャンドラーの「組織は戦略に従う」とアンゾフの「戦略は組織に従う」の両面からのアプローチが可能です。人事を語る際に、経営戦略にまで踏み込んで提言できる点がヘイグループの大きな特徴になっています。

ヘイグループの強み:アカデミックな知見やデータで経営と人事をつなぐ

movin:

先に上げていただいたアカデミックな知見をベースに経営全体に影響力の与えるような、ヘイグループの強み・ユニークさを生かしたプロジェクトの事例をいくつか挙げていただけますか?

山口様:

まず私が以前手がけた国内消費財メーカーの事例を紹介します。この企業では10年ほど前までヒット商品を立て続けに飛ばしていたのですが、2000年代後半から勝てる新商品が生まれず経営的に苦しい局面が続いていました。社内的に色々な問題分析を重ねるなかで浮かび上がってきたのが、「人」の問題ではないかという点です。そこで弊社に相談が寄せられました。

弊社ではまず問題の分析に取り掛かりました。ヒット商品を連発していた時代の伝説のチームのメンバーを一堂に集め、当時のプロジェクトの進め方や会議の模様を再現してもらったのです。すでに引退されている方もいましたが、皆さん快く協力してくださいました。一方で現在の開発チームにも集まってもらい、両者を細かく比較分析しました。ヘイグループには、このような分析に用いるグローバル統一のアセスメントツールがふんだんに揃っており、観察を手がけるアセスサーと呼ばれる専門スタッフもいます。このスタッフが、個々のメンバーがどのような能力をどの段階で発揮しているのかを詳細に分析しました。

その結果、両者に決定的な違いがあることが判明しました。それは、先ほどの「打席数」の差です。先の伝説のチームは平均すると20代に10個以上の失敗作をつくっていました。1個の失敗作で5億円程度の損失となりますので、会社は1人に対して50億円という金額をかけて失敗する経験を踏ませていたのです。別の言い方をすれば、以前は会社が人材育成に莫大な投資を重ねていたのです。

一方、現役のチームはそもそも新商品の開発をほとんど手がけたことがありませんでした。平均すると経験した商品開発案件は1個あるかないかです。これがとても大きな経験値の差となって表れていたのです。

そこで弊社は、「ヒト・モノ・カネ」だけではなく、新商品をつくる場自体が「資産」となっている点をお伝えしました。そしてこの貴重な資産を有効活用するために、打席数を棚卸しして、ポテンシャルの高い人材に失敗も含めた経験を積ませることができる仕組みに変えることを提案しました。ポテンシャルの高い人材のアセスメントにも、ヘイグループの手法を適用しました。

movin:

なるほど。これはヘイグループの特徴である行動心理学にもとづいて開発した様々なツールや手法を活用して、経営課題の解決を支援した典型的な案件ですね。他にもありますか?

山口様:

企業のCEOが手がける最大の意思決定と言われているのが、次期CEOの指名です。ここでもヘイグループの特徴が生かされています。次期CEOの指名に当たっては、独立した専門の委員会を設立して候補者を絞っていく方法が海外では一般的です。その際、弊社の動機診断ツールなどのアセスメント手法を活用して候補者の心理を分析し、対象者のくせや考え方などを可視化します。ここで導き出された心の傾向と、企業がこれから目指している方向とを照らし合わせて、候補者を評価します。日本企業でも、CEOの手腕が企業の命運を分けるという認識が広がっており、近年このような依頼を受けるようになっています。

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