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シンクタンクとコンサルの違いを徹底解説|役割・年収から転職動向まで


シンクタンクとコンサルの違いを徹底解説|役割・年収から転職動向まで

「シンクタンクとコンサル、どちらが自分に合っているのだろう?」多くの優秀なビジネスパーソンがキャリアの岐路で抱くこの疑問に、転職のプロフェッショナルとして終止符を打ちます。両者は、専門家を集めた「頭脳集団」や「知的専門家集団」という点で共通していますが、その目的、働き方、そしてキャリアの先に広がる世界は大きく異なります。この違いを深く理解せずに転職活動を進めてしまうと、入社後に「こんなはずではなかった」というミスマッチが生じる可能性があります。

私たち株式会社ムービン・ストラテジック・キャリアが長年にわたり培ってきた知見に基づき、シンクタンクとコンサルティングファームの違いを多角的に解き明かします。それぞれの役割や具体的な業務内容、気になる年収水準、求められるスキルセット、そして両業界の最新採用動向まで、あらゆる角度から徹底的に比較分析します。

    目次

  1. 根本的な違い:「社会の羅針盤」か、「企業の課題解決人」か
  2. 業務内容とプロジェクトの実際
  3. 報酬、カルチャー、キャリアパス
  4. あなたの適性はどちら?求められるスキルと人材像
  5. 主要プレイヤーとランキング
  6. 成功するキャリアチェンジへの道筋
  7. シンクタンクとコンサルの違いを知り、転職を成功させたい転職希望者のためのFAQ

根本的な違い:「社会の羅針盤」か、「企業の課題解決人」か

根本的な違い:「社会の羅針盤」か、「企業の課題解決人」か

シンクタンクとは?社会の羅針盤となる「頭脳集団」

シンクタンクは、政治、経済、社会問題、科学技術といったマクロなテーマに対し、中長期的かつ客観的な視点で調査・研究を行う専門機関です。文字通り「考える (think) 貯蔵庫 (tank)」であり、「頭脳集団」と訳されるように、様々な領域の専門家が集結しています。その研究成果は、政府や自治体への政策提言、企業の経営戦略策定、さらには世論形成に活かされることを目的としています。シンクタンクは、その設立母体や運営形態によって、大きく二つに分類されます。  

政府系シンクタンク
政府や公的機関が設立・運営する研究機関で、主に公共政策の研究や提言を行います。内閣府所管の経済社会総合研究所や、経済産業省所管の経済産業研究所(RIETI)などが代表例です。公的資金で運営されるため非営利性が高く、政策決定に直接的に貢献する役割を担っています。研究成果は白書やレポートとして広く社会に公開されるのが特徴です。

民間系シンクタンク
民間企業や財団が設立した研究機関で、多くは金融機関や大手事業会社を母体としています。野村総合研究所 (NRI)三菱総合研究所 (MRI)などがこれにあたります。当初は親会社の経済調査や市場分析を主業務としていましたが、現在ではその専門性を活かし、官公庁や他の民間企業からの受託研究、経営コンサルティング、さらにはITソリューションの提供など、営利活動も活発に行っています。

コンサルティングファームとは?企業の課題を解決する「プロフェッショナル集団」

コンサルティングファームは、クライアントである企業が抱える様々な経営上の課題に対し、専門的な知見から解決策を提案し、その実行を支援するプロフェッショナル集団です。その目的は、クライアント企業の業績向上や企業価値の最大化にあります。

扱う課題は、全社戦略の策定、新規事業立案、M&A戦略、業務プロセスの改革(BPR)、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進、組織人事制度の設計など、極めて多岐にわたります。かつては戦略を提言するまでが主な役割でしたが、近年では「絵に描いた餅」で終わらせないために、提案した戦略を現場に落とし込み、成果が出るまで伴走する「実行支援」までを一気通貫で手掛けるプロジェクトが主流となっています。

一目でわかる比較:シンクタンク vs コンサルティングファーム

両者の最大の違いは、「誰の、どのような課題を、何のために解決するのか」という点に集約されます。シンクタンクは社会や公共の利益という大きな目的のために、長期的かつ広範なマクロ課題を客観的に研究・提言します。一方、コンサルティングファームは特定のクライアント企業の利益を最大化するために、具体的かつ短期的な経営課題を当事者として解決し、実行まで導きます。

▼シンクタンク vs コンサルティングファーム 根本的な違い

比較項目 シンクタンク コンサルティングファーム
主目的

社会・公共政策への貢献、世論形成

クライアント企業の価値向上、利益創出

主要クライアント

政府、官公庁、地方自治体

民間企業(特に経営層)

扱うテーマ

社会課題、経済政策、産業動向など広範でマクロなテーマ

経営戦略、業務改善、DXなど個別企業の具体的課題

時間軸

中長期的

短期的(数ヶ月〜1年程度)

成果物

調査レポート、研究論文、政策提言書

経営層への提案資料、実行計画、導入システム

ビジネスモデル

プロジェクト単位の受託研究・調査(入札形式も多い)

コンサルタントの稼働時間に基づくフィー(人月単価)

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業務内容とプロジェクトの実際

業務内容とプロジェクトの実際

シンクタンク研究員の仕事

シンクタンクの仕事は、プロジェクトベースで進行します。まず、官公庁のウェブサイトで公開される入札案件に応募したり、過去の実績や研究員個人のネットワークを通じて案件を獲得したりすることから始まります。プロジェクトが始まると、テーマに関する膨大な国内外の文献調査、統計データの収集・分析、関連省庁や企業、有識者へのヒアリング、現地調査などを徹底的に行います。これらの緻密なリサーチに基づき、現状分析、将来予測、課題の特定を行い、最終的には数百ページに及ぶこともある詳細な報告書としてまとめ、政策提言を行います。

具体的なプロジェクト事例

二国間クレジット制度の制度設計
地球温暖化対策の一環として、日本が途上国と協力して温室効果ガス削減に取り組む「二国間クレジット制度」の具体的なルール作りを支援するプロジェクトです。欧州などの先行事例を調査・分析し、クレジットの発行基準や取引市場の形成方法、セキュリティ対策など、多角的な観点から制度を設計し、官公庁に提言します。

原子力発電所の廃炉プロジェクト
福島第一原発事故を受け、前例のない廃炉作業を安全かつ効率的に進めるための全体計画を検討するプロジェクトです。世界中の最先端技術(遠隔操作ロボット、高度センサー技術など)を調査・評価し、有望な技術があれば現場での導入検証を支援するなど、未知の課題解決に貢献します。

コンサルタントの仕事

コンサルタントのプロジェクトもまた、極めて論理的なプロセスで進められます。通常、クライアントへの提案が通り受注が決定すると、パートナーやマネージャーを中心にプロジェクトチームが組成されます。プロジェクトは、キックオフミーティングから始まり、「現状分析・課題特定 → 仮説構築 → 仮説検証 → 解決策の具体化 → 最終報告」というサイクルを高速で回していきます。この過程で、クライアント企業の経営層から現場担当者まで、様々な階層の従業員へのヒアリングや、業務データの分析、競合調査などを実施。数週間から1ヶ月単位で中間報告を行い、クライアントとの頻繁なディスカッションやワークショップを通じて、提案内容の精度を高めていきます。

具体的なプロジェクト事例

大手製造業のDX戦略策定
3カ年の中期経営計画で掲げられた売上目標を達成するため、クライアントの現状の業務プロセスとITシステムを徹底的に分析。AIによる需要予測やIoTを活用した生産ラインの効率化など、デジタル技術を駆使した新たな事業モデルと、それを実現するための具体的な実行ロードマップを策定し、経営会議で提案します。

消費財メーカーのM&A後の統合支援 (PMI)
M&A(企業の合併・買収)によるシナジー効果を最大化するため、買収後の統合プロセスを支援するプロジェクトです。両社の組織文化の融合、人事評価制度の統一、重複する業務の整理、基幹システムの刷新、サプライチェーンの再構築など、多岐にわたるタスクのプロジェクトマネジメントを行い、統合を成功に導きます。

境界線の曖昧化:ハイブリッド化するシンクタンク

近年、特に大手民間シンクタンクにおいて、コンサルティング事業やITソリューション事業の比重が急速に高まっています。この背景には、従来の官公庁向け調査研究事業だけでは安定した収益成長が難しくなってきたという経営上の事情があります。そのため、より収益性の高い民間企業向けのコンサルティングやシステム開発へと事業ポートフォリオを多角化させる動きが加速しているのです。この結果、シンクタンクとコンサルティングファームの境界線は曖昧になりつつあります。

ケーススタディ:野村総合研究所(NRI)

NRIの連結売上高を見ると、その大半を金融機関や一般事業会社向けのITソリューションが占めており、「コンサルティングサービス」部門の割合は1割未満です。特に金融ITソリューションでは圧倒的なシェアを誇り、実態としては「コンサルティング機能も有する巨大IT企業(SIer)」という側面が非常に強いと言えます。

ケーススタディ:三菱総合研究所(MRI)

MRIは、売上高の約4割を伝統的なシンクタンク・コンサルティングサービスが占める一方、約6割はITサービスで構成されています。官公庁を主要クライアントとする強みを維持しつつも、近年は民間企業のDX支援にも注力しており、シンクタンクとITソリューションの両輪で事業を展開しています。

転職希望者にとって、これは極めて重要な示唆を含んでいます。「シンクタンク」という看板だけで企業を判断するのではなく、各社のIR情報などを確認し、事業セグメント別の売上構成比(コンサルティングやIT事業の比率)を精査することが不可欠です。これにより、入社後に自分がどのような業務に携わることになるのかを正確にイメージし、キャリアのミスマッチを防ぐことができます。

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報酬、カルチャー、キャリアパス

報酬、カルチャー、キャリアパス

年収・給与体系の徹底比較

キャリア選択において、報酬は重要な要素の一つです。シンクタンクとコンサルティングファームの年収を比較すると、一般的にコンサルティングファームの方が高い水準にあると言えます。特に、マネージャー以上のシニアな役職になるほど、その差は顕著に開く傾向があります。

この年収差が生まれる根本的な要因は、両者のビジネスモデルの違いにあります。コンサルティングファームは、クライアント企業の売上向上やコスト削減といった利益に直接結びつく価値を提供するため、プロジェクトフィーも数千万円から億単位と高額に設定することが可能です。この高い収益性が、コンサルタントへの高報酬として還元される構造になっています。一方、シンクタンクが主戦場とする官公庁の案件は、公共性が高いことから予算に制約があったり、競争入札によって価格が抑制されたりするケースが多く、これが給与水準にも影響を与えています。

▼役職別・年収レンジ比較 (シンクタンク vs コンサルティングファーム)

役職 シンクタンク
年収目安
コンサルティングファーム
年収目安
備考
アナリスト/研究員

500万円~800万円

500万円~900万円

若手のうちは両者に大きな差はない

コンサルタント/主任研究員

800万円~1,200万円

900万円~1,500万円

このクラスから徐々に差が開き始める

マネージャー/主席研究員

1,100万円~1,600万円

1,400万円~2,000万円

差が明確になり、コンサルでは2,000万円超も視野に

パートナー/理事

1,500万円~

2,500万円~

コンサルでは数千万円から数億円規模も

注: 上記年収はあくまで目安であり、企業や個人のパフォーマンスによって変動します。

評価制度とカルチャー

組織文化や評価制度も、働き方を大きく左右する要素です。

シンクタンク
日系の大企業文化を色濃く残している場合が多く、比較的、年功序列の色彩が残っています。人材の流動性がコンサルティングファームほど高くなく、長期的な視点で専門家を育成する文化が根付いています。そのため、一つの会社で腰を据え、着実に専門性を高めていきたいと考える人に向いています。

コンサルティングファーム
徹底した実力主義・成果主義が特徴です。年齢や在籍年数に関わらず、成果を出せば若くして昇進・昇給が可能です。評価サイクルも半期ごとなど短く、常に高いパフォーマンスが求められます。一部のファームでは「Up or Out」(昇進できなければ退職)という厳しい文化も存在し、自身の市場価値を常に問い続け、実力で評価されたいと考える人に適した環境です。

働きがいとワークライフバランス

どちらの仕事も知的探求心を満たし、大きな達成感を得られる一方で、高いプロフェッショナリズムが求められる厳しい環境でもあります。

シンクタンク
自身が関わった調査研究が政府の政策に反映されたり、社会課題解決の糸口になったりと、社会貢献性の高さを実感できる瞬間に大きなやりがいを感じる人が多いです。一方で、調査や分析業務には明確な終わりがなく、知的な探求が求められるため、繁忙期には長時間労働が常態化することもあります。

コンサルティングファーム
クライアントの経営者が頭を悩ませる難解な課題を解決し、企業の成長に直接貢献できたときに、大きな達成感を得られます。常に新しい業界やテーマに触れることができるため、知的好奇心が絶えず刺激される環境です。しかし、プロジェクトは常に厳しい納期との戦いであり、クライアントからの高い期待に応え続けるプレッシャーは相当なものです。

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あなたの適性はどちら?求められるスキルと人材像

あなたの適性はどちら?求められるスキルと人材像

シンクタンクに向いている人材像

シンクタンクで活躍するのは、特定の分野を深く掘り下げ、その道の第一人者を目指す「スペシャリスト」志向の人材です。知的好奇心が原動力となり、一つのテーマに対して粘り強く、客観的な事実に基づいて真理を探究できる「研究者タイプ」と言えるでしょう。

求められる主要スキル


高度な専門知識
経済学、法学、公共政策、環境・エネルギー、ITなど、特定の専門分野における深い知見が求められます。大学院での研究経験などが高く評価される傾向にあります。

リサーチ・分析能力
膨大な文献や統計データの中から必要な情報を効率的に収集し、その背景にある本質を見抜き、客観的・科学的に分析する能力は必須です。

論理的思考力
複雑に絡み合った社会事象を構造的に理解し、因果関係を解き明かしながら、筋道を立てて結論を導き出す力が全ての業務の土台となります。

文章作成能力
難解な分析結果や専門的な知見を、誰が読んでも理解できるよう、論理的で平易かつ説得力のある報告書や論文にまとめる高度なライティングスキルが不可欠です。

コンサルタントに向いている人材像

コンサルタントとして成功するのは、答えのない問題に対して、自ら解決策を導き出すことにやりがいを感じる「プロブレムソルバー」です。強いプレッシャーの下でもクライアントの期待を超える成果を出すことにこだわり続ける、「プロフェッショナル」としての高い意識が求められます。

求められる主要スキル


論理的思考力・問題解決能力
クライアントが抱える漠然とした課題から真の論点を特定し、仮説を立て、検証を通じて最適な解決策を導き出す一連の思考プロセスを実践する能力がコアスキルです。

コミュニケーション能力
企業の経営トップとの高度な折衝から、現場担当者を巻き込んで変革を推進するファシリテーション能力、多様なバックグラウンドを持つチームメンバーとの円滑な連携まで、あらゆる場面で高い対人スキルが求められます。

学習意欲・柔軟性
プロジェクトごとに担当する業界やテーマが目まぐるしく変わるため、未知の分野であっても短期間で専門家レベルの知識を吸収し、即座に価値を発揮するキャッチアップ能力と知的好奇心が不可欠です。

精神的・肉体的タフネス
厳しい納期、高い品質要求、長時間労働といった極度のプレッシャーに耐え、常に冷静かつ高いパフォーマンスを維持し続ける強靭な精神力と体力が必要です。

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主要プレイヤーとランキング

主要プレイヤーとランキング

日本の主要シンクタンク一覧

日本のシンクタンク業界は、特に金融機関系の企業が大きな存在感を示しています。ここでは、業界を代表する「5大シンクタンク」と、その他の主要企業をご紹介します。

▼日本の5大シンクタンク 特徴比較

企業名 母体 強み・特徴
野村総合研究所 (NRI)

野村グループ

国内最大手。コンサルティングからITソリューションまで一貫して提供。特に金融IT分野で圧倒的なシェアを誇る。

三菱総合研究所 (MRI)

三菱グループ

官公庁からの受託案件に強みを持つ。売上の約7割が政府系。環境・エネルギー、医療福祉、防災など公共性の高いテーマが中心。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング (MURC)

三菱UFJフィナンシャル・グループ

MUFGの顧客基盤を活かした政策研究、コンサルティング、人材育成などを展開。システム部門を持たず、調査・研究に特化している点が特徴。

日本総合研究所

三井住友フィナンシャルグループ

SMBCグループ向けのITソリューションが事業の柱。ITと経営を統合したサービス提供に注力し、地方創生や企業のDX推進にも取り組む。

みずほリサーチ&テクノロジーズ

みずほフィナンシャルグループ

官公庁の政策調査、特に環境・エネルギー分野に強み。みずほ銀行向けのシステム開発も大きな柱となっている。


その他の主要シンクタンク


金融系
大和総研、ニッセイ基礎研究所、第一生命経済研究所

事業会社系
NTTデータ経営研究所、富士通総研、日立総合計画研究所、三井物産戦略研究所

政府系
経済社会総合研究所(内閣府)、経済産業研究所(経済産業省)、日本国際問題研究所(外務省)、防衛研究所(防衛省)

世界の主要シンクタンク

グローバルな視点で見ると、米国のシンクタンクが圧倒的な存在感を放っています。米ペンシルベニア大学が毎年発表している世界シンクタンクランキングは、その影響力を測る重要な指標とされています。

▼世界のトップ・シンクタンク(ペンシルベニア大学「2019 Global Go To Think Tank Index Report」より)


順位 名称 国・拠点
1

ブルッキングス研究所 (Brookings Institution)

米国・ワシントン

2

王立国際問題研究所 (チャタムハウス)

米国・ワシントン

3

カーネギー国際平和基金 (Carnegie Endowment for International Peace)

米国・ワシントン

4

戦略国際問題研究所 (CSIS)

米国・ワシントン

5

ブリューゲル (Bruegel)

ベルギー・ブリュッセル

13

日本国際問題研究所 (JIIA)

日本・東京

15

ピーターソン国際経済研究所 (PIIE)

米国・ワシントン

日本の日本国際問題研究所(JIIA)も世界トップクラスの評価を受けており、アジアを代表するシンクタンクとして知られています。

シンクタンク売上高ランキング

企業の規模や市場での影響力を測る上で、売上高は重要な指標です。以下のランキングは、シンクタンク事業を営む主要企業の連結売上高を示しています。

▼国内主要シンクタンク・コンサルティングファーム 売上高ランキング

順位 名称 国・拠点
1

野村総合研究所 (NRI)

7,648億円(2025年3月期)

2

日本総合研究所

2,496億円(2024年3月期)

3

みずほリサーチ&テクノロジーズ

2,035億3,300万円(2025年3月期)

4

三菱総合研究所 (MRI)

連結: 1,153億円(2024年9月期)

5

リンクアンドモチベーション

374億円(2024年12月期)

このランキングからも、野村総合研究所の規模が突出していることがわかります。これは前述の通り、同社の収益の大部分がITソリューション事業によるものであることを反映しており、シンクタンク業界の「ハイブリッド化」を象徴するデータと言えます。

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成功するキャリアチェンジへの道筋

成功するキャリアチェンジへの道筋

未経験からの転職は可能か?

結論から言えば、シンクタンク・コンサルティング業界への未経験からの転職は十分に可能であり、むしろ中途採用の約8割は異業界からの転職者で占められています。一部で「コンサル経験者でなければ難しい」という情報も見られますが、それは事実とは異なります。

両業界が求めているのは、コンサルティングの経験そのものよりも、前職で培われた特定の業界知識や専門性です。例えば、金融機関出身者の金融システムに関する知見、メーカー出身者のサプライチェーンに関する実務経験、事業会社の人事部出身者の組織・制度設計に関する経験などは、即戦力として高く評価されます。重要なのは、これまでのキャリアで培った専門性や、論理的思考力、問題解決能力といったポータブルスキルを、職務経歴書や面接の場で、いかに説得力を持ってアピールできるかです。

年齢層としては、20代後半から30代中盤までがボリュームゾーンとなっていますが、高度な専門性やマネジメント経験があれば、40代以降で採用されるケースも決して珍しくありません。

その先のキャリアパス

シンクタンクとコンサルティングファームでは、そこで得られるスキルセットが異なるため、その後のキャリア展開も大きく異なります。どちらの道を選ぶかは、5年後、10年後にどのようなプロフェッショナルになっていたいかという長期的なキャリアビジョンから逆算して考えることが極めて重要です。

シンクタンク出身者のキャリアパス

シンクタンクで得られるのは、特定分野における深い専門知識と調査・分析能力です。そのため、キャリアパスもその専門性をさらに深める方向性が中心となります。同業のシンクタンクやコンサルティングファームへの転職のほか、大学教授や研究員といったアカデミックな道、官公庁の専門職員、事業会社の調査部門や研究所などが主な選択肢となります。

コンサルタント出身者のキャリアパス

コンサルティングファームで得られるのは、業界を問わず通用する汎用的な問題解決能力、経営視点、プロジェクトマネジメント能力です。そのため、キャリアの選択肢は極めて多様です。ファーム内で昇進を重ねてパートナーを目指す道、より専門性の高いブティックファームや別の総合ファームへ移籍する道はもちろんのこと、多くのコンサルタントが事業会社の経営企画部門や新規事業開発部門、PEファンドやベンチャーキャピタルなどの投資業界、スタートアップ企業のCXO(最高〇〇責任者)へと転身します。また、自ら起業するケースも非常に多く、コンサルティングファームでの経験は、経営者になるための「登竜門」と位置づけられています。

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コンサルティングファームへの転職・キャリア相談会

シンクタンクとコンサルの違いを知り、転職を成功させたい転職希望者のためのFAQ

Q: そもそも、シンクタンクとコンサルティングファームの最も大きな違いは何ですか?

最も大きな違いは、その「目的」と「社会的役割」にあります。この根本的な思想の違いが、組織の文化や働き方を決定づけています。

コンサルティングファーム
コンサルティングファームの目的は、クライアントである民間企業の経営課題を解決し、その業績向上や成長を支援することです。戦略立案、業務改善、M&A支援など、あらゆる手段を用いてクライアントの収益性や競争力を高めることがミッションです。その活動は本質的に商業的であり、成功は売上増加、コスト削減、市場シェア拡大といった、  

具体的かつ測定可能なビジネス上の成果によって測られます。

シンクタンク
シンクタンクの主な目的は、社会、経済、政治といった広範なテーマに関する調査・研究を行い、その成果を社会に還元することです。特定の企業の利益追求ではなく、客観的なデータと分析に基づき、政府や社会全体に対して政策提言を行ったり、社会的な議論を喚起したりします。その活動は公共性が高く、成功は短期的な利益ではなく、  

政策への反映や社会課題解決への貢献度といった、長期的かつ社会的なインパクトで測られます。

Q: クライアントはどのように違いますか?

主なクライアント層が明確に異なります。誰が、なぜ対価を支払うのかを理解することが重要です。

コンサルティングファーム
コンサルティングファームのクライアントは、主に民間企業です。メーカー、商社、金融機関、IT企業など、国内外の大手企業から新興のベンチャー企業まで、その範囲は多岐にわたります。これらの企業は、自社内だけでは解決が困難な、専門的かつ緊急性の高い経営課題に直面した際に、外部の専門家集団に解決策を求めます。

シンクタンク
シンクタンクのクライアントは、主に政府の中央官庁、地方自治体、公的機関が中心となります。これらの公的機関は、法律の制定や政策の立案・評価を行う際に、その根拠となる客観的で緻密なデータや専門的な分析を求めて調査・研究を委託します。近年では、民間企業系のシンクタンクが企業の依頼を受けて、業界動向調査や技術予測といったリサーチを行うケースも増えています。

Q: ビジネスモデル(収益の上げ方)はどう違いますか?

収益を得るプロセスが異なり、それが仕事のプレッシャーやスタイルに影響を与えます。

コンサルティングファーム
コンサルティングファームの収益源は、コンサルタントが提供する専門的なサービスへの対価、すなわちコンサルティングフィーです。プロジェクトの契約は、クライアントとの直接的な営業活動や長年の信頼関係を通じて獲得されます。民間企業は自社の利益から高額なフィーを支払うため、投資対効果(ROI)をシビアに評価し、短期間での具体的な成果を要求します。この要求が、コンサルティングファームのスピード感と実行重視の文化を生み出します。

シンクタンク
シンクタンクが官公庁から案件を受注する場合、その多くは公募された案件に対する競争入札によって決まります。最も質の高い提案を最も妥当な価格で提示した組織が案件を受注する仕組みです。政府機関は税金を原資として調査を委託するため、特定の企業の利益ではなく、社会全体の利益や政策の妥当性を追求し、客観的で長期的な視点に立った緻密なリサーチを求めます。

Q: 日々の仕事の進め方や業務内容に違いはありますか?

はい、プロジェクトのペース、求められる役割、そして最終的な成果物(アウトプット)が大きく異なります。

項目 コンサルティングファーム シンクタンク
プロジェクト期間

数週間~数ヶ月の短期集中型。明確なゴールが設定される。

数ヶ月~数年単位の長期的で広範なテーマを扱うことが多い。

主な役割

クライアント先に常駐することも多く、課題解決の実行支援まで深く関与する「チェンジエージェント」としての役割を担う。

主にオフィス内で調査・研究と政策提言が中心。客観的なリサーチャーとしての立場を保つ。

主な成果物

経営層が迅速に意思決定するための、視覚的で説得力のある提案書(スライドデッキ)や実行計画書

政策担当者や一般市民への情報提供を目的とした、詳細なデータに基づく数十~数百ページの調査報告書や論文

Q: 求められるスキルセットは違いますか?

はい、どちらも高いレベルの思考力が求められますが、特に重視されるスキルセットに違いがあります。

コンサルティングファーム
コンサルタントには、論理的思考力や分析能力はもちろん重要ですが、それ以上に実行力、コミュニケーション能力、対人スキルが重視されます。クライアントと信頼関係を築き、プロジェクトチームをまとめ上げ、企業の役員クラスを相手に堂々とプレゼンテーションを行い、彼らを動かす説得力が不可欠です

シンクタンク
シンクタンクの研究員には、深い分析能力、特定分野における高度な専門知識、そしてリサーチ手法への精通が最も重要視されます。客観的なデータに基づき、厳密で偏りのない分析を行い、複雑な情報を論理的で分かりやすい報告書にまとめる能力がキャリアの成否を分けます。

Q: 最近、シンクタンクとコンサルの境界が曖昧になっていると聞きますが、本当ですか?

はい、その傾向は年々強まっています。これは主に、野村総合研究所(NRI)や三菱総合研究所(MRI)といった大手民間シンクタンクが、収益拡大のためにコンサルティング部門を大幅に強化していることに起因します。

その結果、例えばNRIのような一つの組織の中に、伝統的な「研究員」としての役割と、アクセンチュアやデロイトといった総合コンサルティングファームのコンサルタントとほぼ同質の業務を行う「コンサルタント」としての役割が併存しています。

これは、転職希望者にとって「第3の選択肢」とも言えるハイブリッドなキャリアの存在を示唆します。したがって、転職活動においては、「シンクタンクか、コンサルか」という二元論で考えるのではなく、「どの企業の、どの部門で、どのような役割を担うのか」を具体的に見極めることが極めて重要です。

Q: ズバリ、年収はどちらが高いですか?

一般的には、コンサルティングファームの方が高い年収水準にあります。これは、クライアントの利益向上に直接貢献するビジネスモデルであり、個人の成果が報酬に直結する「実力主義(メリトクラシー)」の評価制度が徹底されているためです。

一方で、野村総合研究所(NRI)や三菱総合研究所(MRI)といったトップティアの民間シンクタンクは、総合コンサルティングファームに匹敵、あるいはそれを上回る報酬水準を誇ります。シンクタンクは比較的「年功序列」の文化が残っている場合があり、給与は安定していますが、昇給ペースは緩やかです。

役職別年収レンジの目安

役職 戦略コンサル 総合コンサル 主要シンクタンク
若手 (アナリスト/研究員)

600~1,300万円

500~900万円

500~900万円

中堅 (マネージャー/主任研究員)

1,400~2,000万円

900~1,500万円

900~1,200万円

管理職 (パートナー/主席研究員)

2,500万円~

2,000万円~

1,200万円~

上記は複数の公開情報 を基にした目安です。

Q: ワークライフバランス(働きやすさ)はどう違いますか?

かつては「コンサルは激務、シンクタンクは比較的穏やか」というイメージが定着していましたが、近年その差は着実に縮まっています。

優秀な人材の獲得・定着競争が激化する中、コンサルティングファーム各社は働き方改革に非常に積極的に取り組んでいます。在宅勤務制度の全社展開、18時以降の会議の原則禁止、残業時間の上限設定(例:月65時間以内)といった具体的な施策が導入され、ワークライフバランスは着実に改善されています。フルリモート案件の増加により、通勤時間がなくなり可処分時間が増えたという声も多く聞かれます。

もちろん、プロジェクトの佳境では一時的に多忙になることはありますが、それはシンクタンクも同様です。固定観念に囚われず、各社の最新の制度やカルチャーを個別に評価することが重要です。

Q: どのような人がそれぞれの仕事に向いていますか?

ご自身の思考スタイルや、何にやりがいを感じるかによって適性が分かれます。

コンサルタントに向いている人
現実的な問題解決者タイプです。高いストレス耐性、結果への強いこだわり、主体的な行動力を持ち、競争の厳しい環境でこそ能力を発揮します。複雑なビジネス上のパズルを解き明かし、自らの提案がクライアントの行動を変え、具体的な成功に結びつくプロセスに情熱を燃やす人に向いています。

シンクタンクの研究員に向いている人
知的な探求者タイプです。旺盛な知的好奇心、長時間の深い分析を厭わない忍耐力、そして単独で研究を進める自律性が求められます。社会的な事象の背後にある「なぜ」を解明したいという強い欲求に駆られ、厳密な調査と分析を通じて、大規模な社会課題の解決に貢献することに自身の存在意義を見出す人に最適です。

Q: 入社後のキャリアパスや、その後の転職先はどのように違いますか?

キャリアの進展の仕方と、そこで得られるスキルを活かした次のステップに違いがあります。

コンサルティングファーム出身者
汎用性の高い問題解決能力と経営知識を武器に、極めて幅広いキャリアの選択肢を持ちます。最も一般的なのは、事業会社の経営企画や新規事業開発部門への転職です。その他、スタートアップの経営幹部(CXO)、PEファンドやベンチャーキャピタル、そして自ら起業する道を選ぶ人も少なくありません。ビジネスの世界におけるあらゆるフィールドが、次の活躍の舞台となり得ます。

シンクタンク出身者
その高い専門性を活かしたキャリアパスが中心となります。政府機関の政策担当者、世界銀行や国連といった国際機関の専門職員、大学教授などのアカデミックなポジションが代表的です。また、シンクタンクで培った知見を活かし、コンサルティングファームの特定領域(公共政策、エネルギー、ヘルスケアなど)の専門家として転職するケースも多く見られます。

Q: シンクタンクとコンサルの間でキャリアチェンジは可能ですか?

はい、十分に可能です。実際に両業界間の人材流動は活発であり、キャリアの選択肢を広げる有効な手段とされています。成功の鍵は、自身の経験を、相手の業界が求める「言語」に翻訳して伝えることです。

シンクタンクからコンサルへ
自身が持つ「深い専門知識」と「厳密な分析能力」が、クライアントに対して他の候補者にはない付加価値の高い洞察を提供できる、強力な武器になることをアピールします。

コンサルからシンクタンクへ
「複雑な問題を構造化する能力」や「プロジェクトマネジメントスキル」が、大規模な研究プロジェクトを効率的に推進する上で大きく貢献できることを強調します。

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