
組織人事コンサルタントや事業会社人事など、組織・人事に関わる様々なポジションへの転職について様々な視点でご紹介いたします。
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世界最大級のプロフェッショナルファームであるマーサーの日本法人。「組織・人事」「年金」「M&A」「資産運用」の4領域を柱に、データとファクトに基づいたコンサルティングを提供しています。特に、グローバルに標準化された職務評価手法や、豊富な報酬データに基づいた人事制度設計・報酬分析に強みを持ちます。企業の持続的成長と変革を「人」の側面から包括的に支援するパートナーです。
世界的な組織コンサルティングファーム、コーン・フェリーの日本法人です。エグゼクティブサーチのパイオニアとして名高いですが、現在はリーダーシップ開発、サクセッションプランニング、報酬・評価制度設計、組織開発など、人材に関わる幅広いソリューションを手掛けています。独自のメソドロジーと豊富なデータに基づき、企業の経営課題を解決するリーダーと組織の最適化を支援します。
「人とリスク」の領域に特化した、世界有数のアドバイザリー企業です。人事制度改革、退職金・年金制度設計、福利厚生といった「ヒューマンキャピタル&ベネフィット」分野と、保険ブローカーとしての「リスク&ブローキング」分野が両輪です。データに基づいた高度な分析力と、人材とリスクを統合したユニークな視点から、企業の価値向上とレジリエンス強化に貢献します。
ロンドンに本拠を置く世界有数のプロフェッショナルサービスファーム、エーオンの日本法人です。「リスク」「リタイアメント(退職金・年金)」「ヘルス(健康・福利厚生)」を主要な事業領域としています。グローバルなネットワークと知見を活かしたリスクマネジメントや再保険仲介に強みを持つほか、データ分析に基づいた人事・年金コンサルティングも提供し、顧客の意思決定を支援します。
外資系組織・人事コンサルタントの主な役割は、クライアント企業の「人事機能の変革」を支援するプロフェッショナルとして、企業の経営課題を「ヒト」と「組織」の観点から解決に導くことです。彼らは単に人事制度を設計するだけでなく、クライアントの経営戦略と人事戦略を緊密に連携させ、戦略策定から制度設計、ITシステムの導入、業務プロセスの改革、そして組織風土の醸成までを一気通貫(End-to-End)で支援します。
その究極的な目的は、変化の激しいビジネス環境に適応できる強靭な組織を構築し、現在および将来にわたって高い生産性と価値を創出し続けるワークフォース(労働力)を育成することにあります。そのため、コンサルタントのカウンターパートはCHRO(最高人事責任者)や人事部門に留まらず、事業部門のリーダーや経営層全体にまで及び、全社的な変革プロジェクトの中核を担うことも少なくありません。
組織・人事コンサルタントが手掛けるプロジェクトは非常に幅広く、クライアントが抱える経営課題に応じて多岐にわたります。その内容は、大きく4つの領域に分類することができます。
組織設計・再編
事業戦略の実現に向けた最適な組織構造の設計、機能の見直し、権限移譲の推進。
組織風土改革・チェンジマネジメント
企業の理念浸透、エンゲージメント向上施策、変革に対する従業員の意識改革と行動変容の促進。
M&A関連人事
M&Aにおける人事デューデリジェンス(人事領域の調査)、PMI(買収後の統合プロセス)における人事制度・組織文化の統合支援。
コーポレートガバナンス
役員報酬制度の設計、指名・報酬委員会の運営支援、サクセッションプラン(後継者育成計画)の策定。
人事戦略・要員計画
経営計画に基づく中期人事計画、人員・人件費の最適化、人材ポートフォリオの策定。
タレントマネジメント
次世代リーダーの発掘・育成、ハイパフォーマー分析、スキルベースの人材マネジメント基盤構築。
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン (DE&I)
DE&I戦略の立案、インクルーシブな組織文化の醸成、関連施策の実行支援。
リスキリング・アップスキリング
DX推進などに伴う、従業員のスキル可視化と新たな能力開発プログラムの企画・実行。
ピープルアナリティクス
人事データを活用した採用・定着・育成に関する分析と、データに基づく意思決定の支援。
人事部門の高度化
人事部門の役割(オペレーティングモデル)の再定義、業務プロセスの効率化(BPR)、シェアードサービスセンター(SSC/GBS)の構築支援。
HRテクノロジー導入
SAP SuccessFactors、Workday、Oracle HRといったグローバル人事システムの導入構想策定から導入支援、定着化までをサポート。
報酬・評価制度設計
等級制度、評価制度、報酬制度(基本給、賞与、インセンティブ)の設計・改定。
福利厚生・退職金
福利厚生制度や退職給付制度の設計と最適化。
グローバルモビリティ
海外赴任者の報酬設計、税務申告支援、ビザ・イミグレーション関連のコンプライアンス対応。
これらのプロジェクトは、単独で行われることもあれば、大規模な全社変革の一環として複数の領域が連動して進められることもあります。
外資系組織・人事コンサルティングファームは、大きく「Big4」と呼ばれる総合系ファームと、特定の領域に特化した「専門ブティックファーム」に大別され、それぞれに仕事内容やキャリアの特色が異なります。どちらを選ぶかは、コンサルタントとして「幅広さ(Breadth)」を追求するのか、「深さ(Depth)」を追求するのかという、キャリアを定義する上で極めて重要な選択となります。
Big4の最大の特徴は、その圧倒的な規模、グローバルネットワーク、そして監査・税務・法務・M&Aアドバイザリーといった他部門との連携による総合力です。人事領域のプロジェクトであっても、大規模なM&Aや全社的なシステム導入、リスク管理体制の構築といった、人事以外の専門知識が不可欠な案件を数多く手掛けます。
仕事の特色
複合的な大規模案件
企業の根幹を揺るがすような大規模な変革プロジェクトが多く、人事、テクノロジー、財務、戦略など複数のチームが連携してソリューションを提供します。
End-to-Endのサービス
戦略策定から実行、その後の運用・保守まで、一気通貫でクライアントを支援する体制が整っています。
多様なステークホルダー
CHROだけでなく、CEO、CFO、CIOといった経営層や、事業部門のトップとも密接に連携する機会が豊富です。
キャリアの方向性
Big4での経験は、人事の専門性を持ちつつも、より広範な経営課題を理解し、大規模な変革をマネジメントできる「トランスフォーメーションのジェネラリスト」としてのキャリア形成に繋がります。
ブティックファームは、組織・人事という特定のドメインに特化し、極めて高い専門性を武器としています。長年にわたって蓄積された独自のデータ(例:マーサーの報酬サーベイ)やメソドロジー(例:コーン・フェリーの職務評価手法)が、他社にはない強力な競争優位性の源泉となっています。
仕事の特色
深い専門性の追求
報酬制度、役員報酬、リーダーシップ開発、M&A後の組織統合など、特定のテーマにおいて業界随一の知見を求められる案件が中心です。
データ・ドリブンなアプローチ
独自の豊富なデータを活用した、客観的で説得力の高いコンサルティングを展開します。
長期的な信頼関係
特定のクライアントと長期にわたるリレーションを築き、信頼されるアドバイザーとしての役割を担うことが多いです。
キャリアの方向性
ブティックファームでの経験は、特定の分野における「ドメインのスペシャリスト」としてのキャリアを確立することに繋がります。その分野で「第一人者」と見なされるような深い専門性を身につけることが可能です。
この選択は単なるブランドの違いではなく、自身のプロフェッショナルとしてのアイデンティティをどう築いていくかという本質的な問いであり、将来のキャリアパスにも大きく影響を与えることになります。
外資系組織・人事コンサルティングの主要プレイヤーは、それぞれに独自の強みやカルチャー、サービス領域を持っています。転職を考える上で、各ファームの「個性」を理解することは、自身に最適な環境を見つけるために不可欠です。以下に代表的なファームの組織・人事部門の特徴を解説します。
デロイト トーマツ コンサルティング (Human Capital - HC)
業界最大級の人員を擁し、組織・人事領域における圧倒的なプレゼンスを誇ります。強みは、戦略から実行までを網羅する「End-to-End」のサービス提供体制です。サービスは主に「HR Transformation(人事機能変革)」「Organization Transformation(組織変革)」「Workforce Transformation(人材変革)」の3つのユニットで構成されています。経営戦略と人事戦略の連携を強く意識しており 、SAP SuccessFactorsのような主要HRテクノロジーの導入や、独自の「ジョブ-スキル・アーキテクチャ」といったソリューションも提供しています。カルチャーとしては、「思いやりと信頼」を重視し、クライアントの現場に寄り添うボトムアップ型のアプローチも特徴的です。
PwCコンサルティング (People Transformation - PT)
「ヒトと組織の課題解決を通じて、社会課題解決におけるCategory of One(他に類を見ない圧倒的な存在)となる」という高い目標を掲げています。クライアントを人事部門に限定せず、事業部門や経営層を含むビジネス全体の課題として「ヒトと組織」の問題を捉える視点が特徴です。主なサービス領域は「People Strategy(組織人材戦略)」「New Ways of Work(新たな働き方)」「HRDX(HRデジタライゼーション)」「Workforce of the future(未来の労働力)」などです。PwCグローバルのネットワークを活かした質の高いソートリーダーシップ(先進的知見)の発信にも積極的で 、若手でも新しいソリューションを提案できる風通しの良いカルチャーが醸成されています。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング (People Advisory Services - PAS)
近年、特にM&A領域などで急成長を遂げているプラクティスです。サービス範囲は非常に広く、チェンジマネジメント、HRトランスフォーメーション、タレントマネジメント、報酬制度などに加え、EYの出自である税務の強みを活かした「グローバルモビリティ(海外勤務者の税務・ビザ・イミグレーション支援)」は他社の追随を許さない大きな特徴となっています。テクノロジー活用にも積極的で、定性情報(評価コメントなど)を分析する独自のAIツール「JEFTY」を保有するなど、先進的な取り組みが目立ちます。「適切な人材を、適切なコストで、適切な場所で、適切に活動してもらう」ことの実現を支援の核としています。
KPMGコンサルティング (People & Change - P&C)
監査法人としての出自を活かし、リスクコンサルティングやガバナンス強化に定評があります。ガバナンス体系や組織機能の変革を通じて、人材の潜在能力を最大限に引き出すことを目指しています。サービス内容は、パーパス(企業の存在意義)策定や組織カルチャー変革、DE&I推進、基幹人事制度(等級・報酬・評価)の設計、人材開発、役員報酬など、ハードとソフトの両面にわたります。独自開発のHR-Techツール「Kc-HERO®」を活用するなど、テクノロジーを駆使したソリューション提供も推進しています。
アクセンチュア (Talent & Organization - T&O)
世界最大級のITサービス・コンサルティング企業であるアクセンチュアの組織・人事部門は、テクノロジーとの融合を最大の強みとしています。「人材とテクノロジーを融合させ、新しい働き方、環境、組織を実現する」ことをミッションに掲げ 、あらゆる大規模なビジネス変革やDXプロジェクトにおいて、その成功の鍵を握る「人と組織」の変革を担います。サービスは、リーダーシップ&企業文化、組織デザイン、HRトランスフォーメーション、チェンジマネジメント、タレントトランスフォーメーション&スキリングなど、変革の全領域をカバーしています。
世界最大級の組織・人事コンサルティング・ブティックであり、特に報酬(リワード)分野における圧倒的なデータと知見で知られています。組織変革、人事制度設計、福利厚生・退職給付制度、M&Aアドバイザリー、資産運用に至るまで、「人・組織」に関するあらゆるサービスを高い専門性をもって提供します。単にクライアントの要望に応えるだけでなく、課題の根本原因を突き止め、真の企業価値向上に繋がる提案を行う問題解決志向のカルチャーが根付いています。約2000社が参加する報酬データベースが、コンサルティングの質の高さを支えています。
世界トップクラスのエグゼクティブ・サーチ(幹部人材紹介)と、旧ヘイグループを源流とする深い組織・人事コンサルティングを融合させた、ユニークなポジショニングのグローバルファームです。組織戦略、アセスメント&サクセッション、タレント・アクイジション(人材獲得)、リーダーシップ&プロフェッショナル育成といった領域をカバーし 、特に経営層の課題解決やリーダーシップ開発に強みを持ちます。世界中で活用されている独自の職務評価手法など、確立されたメソドロジーを多数保有している点も特徴です。
ウイリス・タワーズワトソン(Willis Towers Watson)
2016年にウイリス・グループとタワーズワトソンが合併して誕生した、世界有数のプロフェッショナルファームです。全世界140カ国以上、45,000人を超える従業員を擁し、「人材(People)」「リスク(Risk)」「資本(Capital)」の3領域でデータと洞察に基づいたソリューションを提供しています。組織人事領域では、報酬制度、退職給付・福利厚生制度、タレントマネジメント、M&Aにおける人事支援などを手掛けます。特に、従業員エンゲージメントサーベイなどを通じた従業員体験(EX)の向上支援や、保険・年金分野における豊富なアクチュアリー経験が強みです。リスクマネジメントと組織人事の両面から、企業の業績向上を包括的に支援する体制が特徴です。
保険・再保険仲介の世界最大手で、人事・リタイアメント・報酬領域のコンサルティングを担うリーディングファームです。世界120カ国以上で事業展開するグローバルネットワークと、そこから得られる圧倒的なデータ量が最大の強みです。特に、精緻なグローバル報酬調査に裏付けられたFact Base(事実に基づく)なアドバイスに定評があり、クライアントから高い評価を得ています。主なサービスは、報酬・人事アドバイザリー、年金コンサルティング、福利厚生コンサルティング、生産性ベンチマーキングなど多岐にわたります。
ファーム名 | 組織・人事部門名 | アイデンティティ・強み | 主なサービス領域 |
---|---|---|---|
デロイト トーマツ コンサルティング | Human Capital (HC) | 業界最大級の規模と総合力、戦略から実行までのEnd-to-End支援 | 組織変革、人材変革、人事機能変革、M&A人事、HRテクノロジー |
PwCコンサルティング | People Transformation (PT) | 社会課題解決への強い意識、ビジネス全体の視点からの「ヒト・組織」課題解決 | 組織人材戦略、新たな働き方、HRDX、未来の労働力、チェンジマネジメント |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング | People Advisory Services (PAS) | M&A領域での急成長、税務・法務と連携したグローバルモビリティ支援 | チェンジマネジメント、HRトランスフォーメーション、タレント&リワード、海外勤務者支援 |
KPMGコンサルティング | People & Change (P&C) | リスク・ガバナンス領域との連携、堅実で質の高いサービス提供 | パーパス・カルチャー変革、DE&I、基幹人事制度設計、人材開発、役員報酬 |
アクセンチュア | Talent & Organization (T&O) | テクノロジーとの融合、大規模DX案件における組織・人材変革の実行力 | リーダーシップ&企業文化、組織デザイン、HRトランスフォーメーション、チェンジマネジメント |
マーサー | 組織・人事変革コンサルティング | 報酬分野の圧倒的なデータと専門性、長期的な信頼関係に基づくアドバイザリー | 報酬・評価制度、福利厚生・退職金、M&A人事、グローバル人事、資産運用 |
コーン・フェリー | コンサルティング | エグゼクティブ・サーチとの連携、リーダーシップ開発と経営層課題への深い知見 | 組織戦略、アセスメント&サクセッション、人材獲得、リーダーシップ開発、役員報酬 |
ウイリス・タワーズワトソン | Work & Rewards / Employee Experience | 「人材・リスク・資本」の3領域を網羅。退職給付・年金分野の専門性と、従業員体験(EX)向上の支援に強み | 組織人事、報酬・退職給付、M&A人事、従業員エンゲージメント、リスクマネジメント |
エーオン | 組織人事コンサルティング | 圧倒的なデータ量に基づくFact Baseなアプローチ。特にグローバルな報酬・福利厚生分野に強み | 報酬・人事アドバイザリー、年金コンサルティング、グローバル報酬調査、福利厚生コンサルティング |
外資系と日系のコンサルティングファームには、それぞれ異なる強みと特徴があり、一概に優劣はつけられません。自身のキャリアプランや価値観に合ったファームを選ぶことが重要です。主な違いを「アプローチと得意領域」「組織文化と働き方」「年収と評価制度」の3つの観点から解説します。
外資系ファーム
グローバルネットワークを駆使して蓄積された最新の知見や方法論、豊富なデータが強みです。そのため、クロスボーダーM&Aにおける組織統合支援といった、グローバル規模の複雑な案件を得意とします。コンサルティング領域としては、戦略的な視点から人事制度(報酬・年金など)や福利厚生を設計する、いわゆる「ハード系」の領域に強みを持つ傾向があります。
日系ファーム
日本特有の企業文化や雇用慣行への深い理解に基づいた、きめ細やかなコンサルティングが強みです。採用戦略、人材育成・研修、組織開発といった「ソフト系」の領域や、現場に寄り添った実行支援を得意とする傾向が見られます。また、シンクタンク系のファームは、官公庁や金融機関を主なクライアントとし、リサーチや分析に基づいたコンサルティングを提供しています。
外資系ファーム
個人の成果を厳格に評価する「成果主義」が徹底されており、「Up or Out(昇進か退職か)」の文化も存在します。プロフェッショナルとして自律した働き方が求められ、人間関係はビジネスライクになりやすいと言われます。労働時間は比較的長い傾向にあります。
日系ファーム
チームワークを重視し、社員へのフォローが手厚い文化があります。長期的な視点での人材育成に力を入れており、研修制度が充実していることが多いです。近年は働き方改革が進み、外資系に比べてワークライフバランスを保ちやすい環境が増えています。
外資系ファーム
年収水準は日系に比べて圧倒的に高く、成果が直接報酬に反映されます。評価は個人のパフォーマンスに厳格に基づき、短期間でのキャリアアップと高収入を目指す人に適した環境です。
日系ファーム
年収は外資系より低いものの、日本の他業界と比較すれば依然として高水準です。成果だけでなく、勤続年数や組織への貢献度なども評価に加味されることがあり、昇進のスピードは比較的緩やかです。
近年は、外資系が日本市場に合わせたサービスを強化し、日系がグローバル案件を増やすなど、両者の垣根は曖昧になりつつあります。そのため、転職活動においては、先入観にとらわれず、両方のファームを視野に入れて検討することが一般的です。
組織・人事コンサルタントとして成功するためには、他のコンサルティング領域と同様の基礎スキルセットが土台として不可欠です。
論理的思考力 (Logical Thinking)
複雑な事象を構造的に捉え、問題の根本原因を特定し、解決策までの道筋を論理的に構築する能力は、コンサルタントの基本中の基本です。
分析力・問題解決能力 (Analytical & Problem-Solving Skills)
データやヒアリング情報から本質的な課題を抽出し、クライアントの状況に即した現実的かつ効果的な解決策を立案する能力が求められます。
コミュニケーション能力 (Communication Skills)
クライアントのニーズを正確に引き出す傾聴力、自らの提案を分かりやすく説得力を持って伝えるプレゼンテーション能力、そして様々な立場のステークホルダーと信頼関係を築く対人能力が含まれます。
プロジェクトマネジメント能力 (Project Management Skills)
複数のタスクを管理し、品質、コスト、納期を守りながらプロジェクトを完遂させる能力も重要です。
しかし、組織・人事コンサルティング領域で特に傑出した成果を上げるためには、これらの基礎スキルに加え、この領域ならではの特殊な能力が求められます。それは「論理と情理のバランス感覚」です。
戦略やITコンサルティングが、より純粋な論理やデータに基づいて最適解を導き出すことが多いのに対し、組織・人事コンサルティングは、人々のキャリア、生活、感情、そして価値観といった、極めて人間的な要素を扱います。どんなに論理的に優れた人事制度であっても、従業員の感情を無視し、彼らの「腹落ち感(納得感)」を得られなければ、それは絵に描いた餅に終わってしまいます。
したがって、この分野で成功するコンサルタントは、データに基づいた厳密なビジネスケースを構築する「論理」の力と、従業員の心に響き、変革への参画を促す魅力的なストーリーを語る「情理」を理解する力の両方を兼ね備えている必要があります。高い分析能力と同時に、他者の立場や感情を深く理解する「対人理解力」や高い共感性が、真の行動変容を引き出す上で不可欠な資質となるのです。候補者は、面接の場においても、この両面の能力をバランス良く示すことが期待されます。
外資系組織・人事コンサルティングファームで働く上で、ビジネスレベルの英語力は、単なる「有利なスキル」ではなく、長期的なキャリア形成における「必須要件」に近い位置づけとなります。
多くのファームでは、選考の目安としてTOEIC 800点以上を一つの基準としていますが、実際の業務で求められるのはテストのスコアを越えた実践的な運用能力です。具体的には、以下のような場面で英語力が直接的に業務の質と効率に影響します。
グローバルな知見へのアクセス
外資系ファームの最大の強みは、世界中の拠点に蓄積されたナレッジ、独自のメソドロジー(方法論)、そして各分野のエキスパートのネットワークです。これらの知的資本は、そのほとんどが英語で管理・共有されています。最新のグローバルなトレンドや他国での成功事例を迅速にインプットし、日本のクライアントに最適な形で提供するためには、英語のドキュメントを読み解く能力が不可欠です。
クロスボーダー案件への対応
日系企業のグローバル展開支援や、外資系企業の日本法人へのコンサルティングなど、国境を越えたプロジェクトは日常的に発生します。海外のチームメンバーとのテレビ会議、英語での報告書作成、グローバル共通の人事ポリシーに関する議論など、円滑なコミュニケーションが求められます。
社内でのキャリアアップ
ファーム内でのトレーニングや昇進後の研修は、グローバル共通のプログラムとして英語で行われることが多々あります。また、海外拠点への赴任や国際的なプロジェクトへのアサインといったキャリアチャンスを掴むためにも、英語力は前提条件となります。
このように、英語力は単なるコミュニケーションツールではなく、ファームが提供する価値の源泉であるグローバルな知的資産にアクセスするための「鍵」です。流暢に英語を使いこなせることは、コンサルタントとして提供できる価値の幅を広げ、自身の成長機会を最大化するために極めて重要であると言えます。
結論から言うと、人事部門での実務経験は、組織・人事コンサルタントへの転職において「必須」ではありません。もちろん、人事企画や制度設計、労務管理などの経験は直接的に活かせるため、高く評価されることは間違いありません。しかし、近年のファームは、より多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用する傾向にあります。
ファームが人事経験以上に重視しているのは、「社内外の関係者を巻き込み、具体的な成果を出した経験」です。これは、コンサルティングの本質が、分析や提案に留まらず、クライアント組織を動かして変革を「実行」することにあるためです。
具体的に評価される職務経験の例としては、以下のようなものが挙げられます。
経営企画・事業企画
全社的な視点から課題を分析し、戦略を立案・実行した経験。
事業開発・新規事業立ち上げ
ゼロからビジネスを構築し、部門横断的な協力体制を築いた経験。
社内業務改善プロジェクト
BPR(業務プロセス改革)などをリードし、具体的な効率化やコスト削減を実現した経験。
営業部門のリーダー
チームを率いて高い目標を達成し、部下の育成にも関与した経験。
戦略コンサルタント、ITコンサルタント
論理的思考力やプロジェクトマネジメントの基礎が身についており、異なる視点から組織・人事の課題にアプローチできるため。
これらの経験に共通するのは、単独で業務をこなすのではなく、多様な利害関係者とコミュニケーションを取り、合意形成を図りながら、困難な課題を乗り越えて目標を達成した実績です。コンサルティング未経験者であっても、このようなポータブルスキルを自身の職務経歴の中で具体的に示すことができれば、選考を有利に進めることが可能です。
外資系組織・人事コンサルティングファームが採用ターゲットとして主に想定しているのは、ポテンシャルと経験を兼ね備えた優秀な人材です。そのプロファイルは、大きく若手ポテンシャル層と経験者層に分けられます。
年齢・学歴
一般的に20代から30代半ばまでが主な対象とされ、国内外の有名大学・大学院を卒業した人材が中心です。
経験
コンサルティング経験は不問ですが、論理的思考力、問題解決能力、高いコミュニケーション能力といったポータブルスキルが重視されます。事業会社での企画業務や、リーダーシップを発揮した経験などが評価されます。
コンサルティングファーム出身者
他のコンサルティングファーム(戦略、業務・ITなど)での経験者は、即戦力として高く評価されます。特にシニアクラスでの採用も活発です。
事業会社出身者
経営企画、事業企画、人事企画といった部門で、戦略立案や制度設計、プロジェクト推進の経験を持つ人材が求められます。
シニアレベル
マネージャー以上のポジションでは、5年〜8年以上の関連実務経験が目安となります。
共通して求められるのは、現状に満足せず、常に学び続ける高い学習意欲と、クライアントの成功にコミットする強いプロフェッショナル意識です。また、日系企業のグローバル展開に伴うプロジェクトが増加していることから、英語力も重要な評価項目の一つとなっています。
はい、コンサルティング未経験者でも、外資系組織・人事コンサルティングファームへの転職は十分に可能です。実際に、多くのファームが未経験者向けの門戸を開いており、多様な業界からの転職成功事例が数多く存在します。
ファーム側は、未経験者採用において、コンサルティングの経験そのものよりも、候補者が持つポテンシャルと、これまでのキャリアで培ってきた専門性や実績を重視します。例えば、以下のような経験は高く評価されます。
事業会社の人事部門での経験
人事制度の企画・運用、採用、育成などの実務経験は、クライアントの課題を深く理解し、現実的な解決策を提案する上で大きな強みとなります。
事業会社での企画・推進経験
経営企画や事業企画、業務改善プロジェクトなどで、課題分析から実行までをリードした経験は、コンサルタントとしての基本的な思考プロセスやプロジェクト推進能力を証明するものと見なされます。
ITベンダーやSIerでの経験
HRテクノロジーの導入やシステム開発の経験は、人事領域のDX案件で即戦力として活躍できる可能性を示します。
金融機関やメーカーなど、特定業界での深い知見
特定の業界に対する深い理解は、その業界のクライアントに対して、より解像度の高いコンサルティングを提供する上で価値を発揮します。
重要なのは、これらの経験を通じて、コンサルタントに求められるコアコンピテンシー(論理的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力、やり抜く力など)をいかに発揮してきたかを、自身の言葉で具体的に説明できることです。ファームには、未経験者をプロのコンサルタントへと育成するための充実したトレーニングプログラムが用意されているため、高い学習意欲とポテンシャルを示すことができれば、未経験であることはハンディキャップにはなりません。
外資系組織・人事コンサルティングファームの年収は、成果主義に基づいた階層的な体系となっており、日本の一般的な企業と比較して著しく高い水準にあります。給与は、役職に応じた「基準年俸(ベースサラリー)」と、会社および個人の業績に連動する「賞与(ボーナス)」で構成されるのが一般的です。
年収水準は役職(タイトル)によって大きく異なり、実力次第で若いうちから高収入を得ることが可能です。20代後半から30代前半でマネージャーに昇進し、年収1,000万円を超えることは珍しくありません。シニアマネージャークラスでは1,500万~2,000万円、さらにその上のパートナークラスになると、2,000万~3,000万円を超えることもあります。
ファームによって若干の差はありますが、業界全体として非常に高い報酬水準にあると言えます。以下に、複数の情報源から統合した役職別の年収レンジの目安を示します。これは、自身のキャリアにおける経済的なリターンを具体的にイメージするための重要な指標となります。
役職(タイトル) | 年齢(目安) | 年収レンジ(推定) |
---|---|---|
アナリスト/ビジネスアナリスト | 22~25歳 | 600万~750万円 |
コンサルタント | 25~30歳 | 700万~1,200万円 |
シニアコンサルタント | 27~35歳 | 900万~1,400万円 |
マネージャー | 30~40歳 | 1,100万~1,700万円 |
シニアマネージャー | 32歳~ | 1,500万~3,100万円 |
ディレクター/プリンシパル/パートナー | 35歳~ | 3,000万円以上 |
出典: ムービンならびに複数のデータを基に統合・整理。年収はベース給と標準的な賞与を含む。
はい、海外勤務の機会は豊富にあり、これは外資系コンサルティングファームで働く大きな魅力の一つです。グローバルに事業を展開しているため、国際的な経験を積むための制度や機会が積極的に提供されています。
海外勤務の形態は主に2つあります。
日本を拠点としながら、海外のクライアントや他国のオフィスメンバーと協働するプロジェクトです。日常的に海外チームと英語でコミュニケーションを取り、グローバルな視点で課題解決に取り組みます。海外出張の機会も頻繁にあります。
ファームの制度として、海外オフィスに一定期間(数ヶ月〜数年)赴任するプログラムです。現地のプロジェクトに参画し、その国のビジネスや文化を肌で感じながらスキルを磨くことができます。これにより、グローバルな人脈を構築し、将来的に海外でリーダーシップを発揮するための貴重な経験を得ることができます。
例えば、マーサーでは、かつて東京オフィスに在籍していた人材が、現在ニューヨークでリージョンの人事責任者を務めている事例もあるなど 、本人の意欲と実力次第で、グローバルなキャリアを切り拓くことが十分に可能です。
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たった5分で、組織人事コンサルタントとしてのキャリア像を把握でき、自分に向いているかどうかを判断するための材料を得ることができます。
キャリアアップを目指す場合や、現職でのやりがいや報酬に不満がある場合など、転職を決意する背後にあるさまざまな要因をご紹介。
これらの要因を理解し、自分の転職活動にどう活かすかを考えることで、成功の確率を高めましょう。
どのファームがどのような業界に強みを持っているのか、またそのファームの企業文化や働き方の特徴を把握することで、自分のキャリアに最適な転職先を選ぶ際の参考にすることができます。
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組織人事コンサルタントへのご転職をお考えの方は、ご自身では気づかれない可能性を見つけるためにもぜひ一度ご相談ください。