ベイン・アンド・カンパニー (Bain & Company)


ベイン・アンド・カンパニー (Bain & Company)

ベイン・アンド・カンパニー(以下、ベイン)は、1973年にビル・ベインによって米国ボストンで設立された、世界トップクラスの戦略コンサルティングファームです。現在、世界約40カ国、65の都市にオフィスを構え、そのクライアントリストにはGlobal Fortune 500企業の3分の2が含まれています。しかし、これらの数字だけではベインの本質を捉えることはできません。ベインを他のファームと一線を画す存在にしているのは、その独特な企業文化と哲学にあります。 

その核心をなすのが、「結果主義」「True North(真北)」「One Team」という三位一体の価値観です。ベインは、単に戦略レポートを提出するのではなく、クライアントが測定可能な「結果」を出すことに徹底的にコミットします。この「結果主義」は、クライアントの成功とベインの報酬を連動させる「連動報酬制」という革新的なモデルによって支えられています。そして、全ての行動の指針となるのが「True North」という倫理的な羅針盤です。これは「常にクライアント、社員、コミュニティに対して正しいことを行う」という信条であり、目先の利益よりも長期的な価値創造を優先する姿勢を保証します。

ベイン・アンド・カンパニーについて

会社概要:ベイン・アンド・カンパニー

社名ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
URLhttps://www.bain.com/ja/
代表日本代表 デイヴ マイケルズ
設立1981年10月(日本オフィス)
所在地東京オフィス: 東京都港区赤坂 9-7-1 ミッドタウン・タワー 37階

「結果」へのコミットメントと「True North」の精神

「結果」へのコミットメントと「True North」の精神

ベインを理解する上で最も重要な概念は、1973年の創業以来、そのDNAに刻み込まれている「結果主義」です。これは、単に報告書を提出して終わりという当時のコンサルティング業界の常識に異を唱え、クライアントの企業価値向上という「目に見える具体的な結果」に徹底的にコミットする、という革新的な理念でした。

この結果主義を支える行動規範が、「True North(真北)」の精神です。これは、「常にクライアント、社員、コミュニティに対して正しいことを行う」という信条を意味します。この理念は、単なるスローガンではなく、日々の意思決定における羅針盤として機能しています。 

この精神を象徴する有名なエピソードがあります。あるクライアントのM&A案件を支援していたチームが、デューデリジェンスの過程で「この買収はクライアントの企業価値を十分に高めるシナジーを生まない」と判断しました。M&Aが成立すれば、ベインにとってはより大規模で長期的なプロジェクトとなり、大きな収益が見込める状況でした。しかし、チームはクライアントの長期的な成功を最優先し、「このM&Aは実行すべきではない」と提言したのです。結果としてプロジェクトは短期間で終了しましたが、この誠実な姿勢こそがクライアントからの絶大な信頼を勝ち得る源泉であり、「True North」の真髄です。

この「True North」の精神は、以下の4つの具体的な行動規範に落とし込まれています。

パッションとコミットメント

クライアントの成功のために、最高のクオリティとプロフェッショナリズムで寄り添う熱意。

オープンで誠実

たとえ耳の痛いことであっても、現状をありのままに伝え、常に正しいと信じることを語る姿勢。

実践的

単なる机上の空論ではなく、判断を具体的なアクションに転換し、実行を重視するアプローチ。

One Team

互いを信頼し、敬意をもってサポートし合う「ワン・チーム」として、クライアントの成功を実現する。

A Bainie Never Lets Another Bainie Fail: 支え合うカルチャーの真実

A Bainie Never Lets Another Bainie Fail: 支え合うカルチャーの真実

ベインのカルチャーを語る上で欠かせないのが、"A Bainie never lets another Bainie fail"(ベインの仲間は、他の仲間を決して失敗させない)という有名なモットーです。これは、ファーム全体に深く浸透している価値観であり、数々のデータもそれを裏付けています。例えば、社員アンケートでは職場の人間関係に対する満足度が96%と極めて高く 、「社員の相互尊重」や「士気の高さ」も高く評価されています。年次や役職に関わらず、互いにリスペクトをもってフィードバックし合う文化が根付いているのです。

ここで重要なのは、この強力なサポート体制が、単なる「仲の良さ」から来ているのではないという点です。むしろ、前述の徹底した「結果主義」を貫くために不可欠な、戦略的な仕組みなのです。クライアントに最高の結果をもたらすという極めて高い目標を達成するためには、チーム全体が最高のパフォーマンスを発揮する必要があります。一人のメンバーの不調は、チーム全体の成果を危うくしかねません。だからこそ、ファーム全体で知識や経験を惜しみなく共有し、互いを助け合う文化が必然的に生まれるのです。厳しい要求があるからこそ、それを乗り越えるための強力なサポート体制が機能している。この「要求と支援の好循環」こそが、ベインの強さの源泉と言えるでしょう。

驚異的成長を遂げる東京オフィス

現在、ベインの東京オフィスは、歴史的な成長の真っ只中にあります。2024年には売上高が前年比で40%超という驚異的な成長を記録し 、これに伴い2025年度は新卒・中途ともに過去最大規模の採用を計画しています。

この急成長は、日本市場における構造的な変化によってもたらされています。日本代表のデイヴ・マイケルズ氏が指摘するように、その背景には3つの大きな要因があります。

コーポレートガバナンスへの圧力の高まり

東京証券取引所によるPBR改善要求など、企業経営に対する外部からのプレッシャーが増大し、企業価値向上に向けた変革の必要性が高まっています。

地政学的な変化

世界情勢の変化に伴い、これまで他国に向かっていた投資マネーが、安全で魅力的な投資先として日本にシフトしています。

プライベートエクイティ(PE)ファンドの活発化

PEファンドによる日本企業への投資が急増しており、企業の競争力強化への意識を一層高めています。

これらの要因は一過性のものではなく、長期的な構造変化です。これは、今後もハイレベルな戦略コンサルティングへの需要が継続することを示唆しており、まさに今がベインの門を叩く絶好のタイミングであることを物語っています。

ベイン・アンド・カンパニーのコンサルタントについて

コンサルタントの役割と挑戦

コンサルタントの役割と挑戦

ベインのコンサルタントは、プロジェクトを推進する「チームの核」として位置づけられています。その役割は、ベイン独自の高度な分析ツールキットを駆使して複雑な経営課題を解き明かし、クライアントと長期的な信頼関係を築きながら、変革をリードしていくことです。 

ベインが対峙する課題は、極めて多岐にわたります。テクノロジー、消費財、産業財、通信、金融、ヘルスケアといった主要産業はもちろんのこと、あらゆる業界のリーディングカンパニーがクライアントです。特に、ベインはプライベートエクイティ業界におけるリーディングコンサルティングパートナーとして世界的に認知されており、投資ライフサイクルの全段階にわたる支援(M&A戦略、デューデリジェンス、買収後の企業価値向上プラン策定など)で圧倒的な強みを誇ります。

その他にも、大手金融機関の全社変革支援 、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進 、サステナビリティ戦略の策定 など、現代の企業が直面する最も重要かつ困難なテーマに最前線で取り組むことになります。

厳しい、しかし圧倒的な成長環境

ベインでの仕事は、決して楽なものではありません。クライアントの経営トップが抱える最重要課題に取り組むため、求められるアウトプットの質は極めて高く、プレッシャーも大きいのが実情です。口コミサイトなどでは「激務」という言葉も見られ、実際に残業時間が長くなる時期もあります。

しかし、この厳しい環境こそが、他では得られない「圧倒的な成長」の源泉です。社員からも「20代の成長環境」は最も高く評価されている項目の一つであり 、多くのプロフェッショナルがこの環境に惹かれてベインの門を叩きます。入社直後から経営トップとの会議に出席し、自らの分析に基づいて提言を行うといった経験を通じて、課題解決能力は飛躍的に向上します。自らの仕事がクライアントの業績、ひいては株価にまで影響を与えるという大きなやりがいが、高いモチベーションの源となっています。

プロボノ活動とソーシャルインパクト

ベインは、商業的なプロジェクトだけでなく、社会貢献活動にも極めて熱心です。ファームとして、今後10年間で20億ドル相当のプロボノ(専門知識を活かした無償のコンサルティング)を提供することをグローバルで約束しており、特に教育、人種・社会的公平性、経済開発、環境問題といった分野に注力しています。

東京オフィスもこの活動に積極的で、例えば、教育格差の是正に取り組むNPO法人に対し、事業戦略の策定を支援するなど、具体的な形で日本の社会課題解決に貢献しています。こうした活動は、若手社員だけでなく、パートナーをはじめとするシニアメンバーがリーダーシップを発揮して推進しており 、ソーシャルインパクトの創出がファーム全体の重要なミッションとして位置づけられていることの証です。日本を代表する大企業を変革すること、そして社会課題の解決に貢献すること。その両方を通じて、日本社会全体をより良くしていくという高い視座が、ベインにはあります。

ベイン・アンド・カンパニーのキャリアパス(職位)

昇進とポスト・ベインの道

ベインでは、実力主義に基づいた明確なキャリアパスが用意されています。アソシエイト・コンサルタントから始まり、コンサルタント、マネージャー、プリンシパル、そしてファームの経営を担うパートナーへと、成果に応じてステップアップしていくことができます。

また、ベインのキャリアの魅力は、ファーム内での昇進だけにとどまりません。ベインの「アルムナイ(卒業生)」は、非常に強力かつ緊密なネットワークを形成しており、生涯にわたるキャリアの支えとなります。ベインを卒業した多くのプロフェッショナルが、事業会社の経営幹部、PEファンド、スタートアップの創業者、NPOのリーダーなど、様々な分野の第一線で活躍しています。一度ファームを離れた後に、外部での経験を積んで再びベインに戻ってくる「ブーメラン社員」も珍しくなく、ファームとの強い絆がうかがえます。

グローバルトレーニングとメンターシップ

ベインが提供する人材育成システムは、世界でも最高水準です。これらは単なる福利厚生ではなく、厳しい環境下でプロフェッショナルが持続的に成長し続けるために戦略的に設計された、統合的なサポートシステムです。

グローバルトレーニング

キャリアの各段階で、ベルリンやシンガポールといった世界各国の都市に、全世界のオフィスから同じ職位のコンサルタントが一堂に会して行われる集合研修です。最先端のスキルを学ぶだけでなく、グローバルな人的ネットワークを構築する絶好の機会となります。

手厚いメンターシップ

入社初日から、経験豊富なシニアメンバーがメンターとして個々の成長をサポートします。特に「PD(Professional Development)チャット」と呼ばれる1対1の定期的な面談では、プロジェクトでの学びや課題、中長期的なキャリアについて深く議論し、成長を加速させます。

多様なキャリア支援制度

トランスファー制度
18~24ヶ月間、海外オフィスで働く機会が得られます。

エクスターンシップ制度
4~6ヶ月間、事業会社やNPOなど、外部の組織で社外研修を行うことができます。

テイク・ツー
個人の目標達成のために、2ヶ月間の休職が可能な制度です。

これらの制度は、コンサルタントが燃え尽きることなく、常に新しい挑戦を通じて視野を広げ、長期的に価値を発揮し続けるための戦略的な投資なのです。

ダイバーシティ&インクルージョン

ベインは、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まることで、より優れた革新的な解決策が生まれると確信しており、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進に全社を挙げて取り組んでいます。

その中核をなすのが、社員が任意で参加する「アフィニティ・グループ」です。同じ属性や関心を持つメンバーが集い、メンターシップやネットワーキングを通じて互いを支え合うコミュニティとして機能しています。

Women at Bain (WAB)
東京オフィスで最も活発なグループの一つです。女性社員が直面する課題について議論し、会社に対して具体的な改善提案を行っています。実際に、女性リーダー育成のためのスポンサーシップ制度の導入や、オフィス内の授乳室設置などは、WABの提言から実現しました。

BGLAD (Bain's LGBTQ+ and Allies at Bain)
LGBTQ+の当事者とアライ(支援者)のためのグループも活発に活動しており、誰もが自分らしく働けるインクルーシブな環境づくりに貢献しています。

こうした活動に加え、柔軟な勤務形態や、男女ともに数ヶ月単位での取得実績が豊富な育児休業制度など、社員一人ひとりのライフステージに合わせた働き方をサポートする制度が充実しており 、フォーチュン誌の「女性が働きやすい企業」にも選出されています。

ベイン・アンド・カンパニーのキャリアパス(職位)と各役割

ベインにおけるキャリアパスは、分析スキルの習得からチームリード、クライアントマネジメント、そして最終的にはファームの経営を担うパートナーへと、役割と責任が明確に定義された階段を上っていく構造になっています。中途採用の場合、個人の経験やスキルに応じてスタートする職位は異なりますが、基本的な昇進の道のりは一貫しています。

各職位は、単なる年次や経験年数ではなく、その時点で求められる能力水準に達しているかどうかで決まります。以下に、一般的なキャリアパスと各職位の役割、そして公開情報に基づく想定年収をまとめます。

職位
(Position)
主な役割
(Primary Role)
求められるスキル
(Required Skills)

アソシエイトコンサルタント (AC)

プロジェクトの土台作りを担う。情報収集、データ分析、顧客や競合へのインタビューなどを通じて、チームが戦略を構築するためのファクトを導出する。

データ収集・分析能力、リサーチスキル、インタビュー能力。ベインの基本的なコンサルティング・ツールキットの習得。

シニアアソシエイトコンサルタント (SAC)

より責任のある分析を任され、プロジェクトの一部をリードする。後輩のACの指導も担当する。

高度な分析能力、複雑な課題に対するソリューション構築能力、後輩指導力。

コンサルタント (Consultant)

プロジェクト推進の中核的存在。自ら分析からインサイトを導き出し、クライアントへの提言を構築。チームメンバーと協働し、リーダー的役割を担う。

マスターレベルのコンサルティング・ツールキット、複雑な課題に対する自律的な解決アプローチ、クライアントとの関係構築能力。

マネージャー (Manager)

ケースチーム全体の運営責任者。分析プロセス全体を管理し、チームを率いて解決策を提言する。クライアントとの関係構築も担う。

プロジェクトマネジメント能力、チームリーダーシップ、クライアントマネジメント能力、業界やテーマに関する専門知識。

シニアマネージャー (Senior Manager)

より複雑で難易度の高いプロジェクトを率いるリーダー。クライアントの最重要課題を特定し、チームと連携して最大限の結果を出す。

高度な課題特定・仮説構築能力、チームの能力を最大化するリーダーシップ。特定のケイパビリティ・業界における専門家としての認知。

アソシエイトパートナー / プリンシパル

ファームのリーダーシップの一員。大局的な視点からクライアントの困難な課題を解決に導く。クライアントの上層部との関係を深化させる。

高度な戦略的思考力、クライアントのエグゼクティブとの折衝能力、ファームの未来を担うリーダーシップ。

パートナー (Partner)

ファームの共同経営者。クライアントとの長期的な関係構築、新規ビジネスの開拓、ファーム全体の成長戦略に責任を持つ。

事業開発能力、経営戦略立案能力、卓越したリーダーシップ、ファーム全体への貢献。

このキャリアパスは一本道ではなく、個人の希望や適性に応じて、海外オフィスへのトランスファーや、社内の異なる部門で活躍するなど、ユニークなキャリアを歩むことも可能です。

ベイン・アンド・カンパニーの年収、評価制度

MBBトップクラスの報酬体系

ベインの報酬水準は、コンサルティング業界の中でもトップクラスであり、その成果と貢献に相応しい対価が支払われます。報酬は、安定した固定給(ベースサラリー)と、個人のパフォーマンスに連動する高率の業績賞与(ボーナス)で構成されています。賞与は固定給の20%~30%以上になることも珍しくありません。

以下に、これまでの転職支援実績と公開情報を基にした、役職別の想定年収レンジを示します。

職位 想定年齢 想定年収(固定給+賞与)

アソシエイト・コンサルタント

25歳~35歳

900万円~1,300万円

コンサルタント

28歳~40歳

1,500万円~2,000万円

マネージャー/ケース・チーム・リーダー

30歳代~

1,800万円~2,500万円以上

注:上記はあくまで目安であり、個人の経験や評価によって変動します。

また、1日2,000円の食事代補助や、深夜帰宅時のタクシー代支給など、給与以外の福利厚生も充実しており、社員が業務に集中できる環境が整えられています。

評価制度

ベインの評価制度は、その公平性と透明性において高い評価を得ています。評価は、全世界で統一された明確な基準に基づいて行われ 、プロジェクトが終了するごとに実施されるため、タイムリーかつ具体的なフィードバックを得ながら成長していくことができます。

評価のポイントは、個人の問題解決能力だけではありません。「チームの成果を最大化するためにどれだけ貢献できたか」「後輩の育成にどれだけ寄与したか」といった点も重要な評価項目となっており、「One Team」のカルチャーを制度面からも支えています。

グローバルで統一された評価基準
評価制度は世界中のオフィスで統一されており、どこで働いていても同じ基準で評価されます。これにより、公平性と客観性が担保されています。

一貫性のある評価項目
新入社員からマネージャーレベルまでは、基本的に同じ評価項目で継続的に評価されます。これにより、コンサルタントは自身の成長の軌跡を明確に把握し、次のステップに向けて何をすべきかを具体的に理解することができます。評価項目は各役職で求められる期待値として明確に定義されています。

360度評価の採用
評価は上司からの一方的なものではありません。プロジェクトで関わった上司、同僚、そして部下からもフィードバックを受け取る「360度評価制度」が導入されています。これにより、多角的な視点から自身の強みや改善点を客観的に把握することが可能になります。シニアメンバーでさえも、このフィードバックを通じて自己研鑽に努めています。

開発を目的としたフィードバック
評価の目的は、単に点数をつけてランク付けすることではありません。評価結果は、必ず評価者との面談を通じてフィードバックされ、「今後6ヶ月で何を頑張るべきか」「そのためにどのようなプロジェクトやトレーニングが有効か」といった、具体的な成長プランに落とし込まれます。

この徹底した実力主義と、成長を促すための透明な評価制度があるからこそ、社員は評価に納得感を持ち、高いモチベーションを維持することができるのです。

ベイン・アンド・カンパニーへの転職希望者のためのFAQ

Q: ベインの「結果主義」とは、具体的にどのような考え方ですか?

ベインにおける「結果主義」は、単なるスローガンや哲学ではなく、ファームの根幹をなすオペレーションモデルであり、商業的な仕組みそのものです。これは、コンサルタントがクライアントに提供するのは「単なるレポートではなく、『結果』である」という創業以来の原則に基づいています。

具体的には、以下の3つの要素で構成されています。

第一に、クライアントの企業価値を最大化するという明確な目標設定です。プロジェクトにおいては、クライアントがベインに支払うフィーの10倍から20倍の価値を創出することを一つの規律としています。これは、コンサルティングが単なる助言に留まらず、クライアントの財務諸表に直接的なインパクトを与えるべきだという強い信念の表れです。 

第二に、クライアントのビジネスを自社のことのように捉える「オーナー目線」の徹底です。ベインはプライベートエクイティ(PE)向けコンサルティングのグローバルリーダーであり、PE業界におけるシェアは競合の約3倍に達します。PEファンドが投資先企業の価値向上に徹底的にコミットするのと同様の視点を、全てのクライアントに対して適用します。このオーナーシップの精神が、実行可能で持続的な変革を生み出す原動力となります。 

第三に、そのコミットメントを具現化する「連動報酬制」の存在です。これは、ベインが得る経済的なインセンティブの一部を、クライアントが達成した「結果」と直接連動させる契約形態です。この仕組みにより、コンサルタントはクライアントの成功に対してより強い当事者意識を持つことになり、ファームとクライアントの利害が完全に一致します。この「結果重視」のアプローチは、ベインがコンサルティング業界にもたらした独自のイノベーションであり、その競争優位の源泉となっています。

Q: 企業理念である「True North」は、日々の業務にどう影響しますか?

「True North(真北)」は、ベインのロゴにも表現されている、ファームの最も重要な行動規範であり、倫理的な羅針盤です。その本質は「常にクライアント、社員、コミュニティに対して正しいことを行う」というシンプルな信条に集約されます。この理念は、日々の業務においてコンサルタントの意思決定や行動に深く浸透し、具体的な影響を与えています。 

まず、「True North」は、クライアントに対して「オープンで誠実」であることを求めます。これは、たとえクライアントにとって耳の痛いことであっても、ファクトに基づいた真実をありのままに伝える勇気を意味します。自社の提言に1%でも誤っている可能性があれば、それを正直に伝える文化が根付いています。これにより、クライアントとの間に表面的な関係ではなく、深い信頼関係が構築されます。プロジェクトを通じて、クライアント企業の担当者とは単なるビジネスパートナーを超えた「戦友」のような関係になることも少なくありません。

次に、「True North」は、ファームの利益よりもクライアントの長期的な価値創造を優先することを保証します。短期的な収益機会を追うのではなく、クライアントにとって本当に正しいと信じる道筋を、時にはクライアントと共に悩みながら追求します。この姿勢があるからこそ、コンサルタントは安心して、そして自信を持って提言を行うことができます。

さらに、この理念は採用プロセスにおいても重要な判断基準となります。面接、特に最終面接では、候補者がこの「True North」の価値観に合致する人物かどうかが厳しく見られます。単に頭脳明晰であるだけでなく、高い倫理観と誠実さを兼ね備えた人材こそが、ベインのコンサルタントとしてふさわしいと見なされるのです。

Q: 「One Team」というカルチャーは、実際のプロジェクトでどのように体現されていますか?

「One Team」は、ベインの協力的なカルチャーを象徴する言葉であり、高いプレッシャーのかかるコンサルティング業務を、個人間の競争ではなくチーム全体の成功へと導くための文化的な接着剤の役割を果たしています。この精神は、日々のプロジェクト運営において具体的に体現されています。

最も重要な側面は、「互いに助け合い、教え合う」という文化の徹底です。ベインでは、チーム内で助けを求めると、依頼した以上の手厚いアドバイスやフィードバックが返ってくることが常です。これは年次や役職に関係なく行われ、個人の成長をチーム全体でサポートする姿勢が根付いています。この背景には、個人の成功がチームの成功に、そしてクライアントの「結果」に直結するという共通認識があります。 

この「One Team」の考え方は、東京オフィス内に留まらず、グローバル全体で機能しています。海外オフィスとの連携プロジェクトは日常的に行われ、海外プロジェクトへのアサインや、海外オフィスへのトランスファー(異動)制度も充実しています。世界65拠点のプロフェッショナルが一体となってクライアントの課題解決にあたるため、多様な視点や知見が結集され、より質の高いソリューションを生み出すことが可能になります。

このカルチャーを制度的に支えているのが、360度評価制度です。上司から部下へという一方向の評価だけでなく、同僚や部下からもフィードバックを受けます。このフィードバックは、評価のためだけでなく、個々人の成長を促すための建設的なツールとして活用されます。チームメンバーが互いの成長に責任を持ち、率直なフィードバックを交わし合うことで、「One Team」としての結束力とパフォーマンスが向上するのです。社員からは「年次や立場問わず互いにリスペクトをもってフィードバックし合う文化が根付いており、チームワークを大切にする風土が1人1人の挑戦を後押しします」といった声も聞かれます。

Q: ワークライフバランスは実際どうですか?「激務」というイメージは過去のものですか?

戦略コンサルティング業界、特にトップファームであるベインのワークライフバランスについて、「激務」というイメージは根強いですが、その実態はより多面的に捉える必要があります。結論から言えば、仕事は依然として非常に要求水準が高く、プロジェクトの繁忙期には長時間労働が現実として存在します。しかし、かつてのような無制限の「激務」から、より持続可能な働き方へとファーム全体で意図的にシフトしているのが現状です。

まず、労働時間の実態として、複数の調査で月間の平均残業時間は50時間から60時間程度と報告されています。週に換算すると30時間から60時間という声もあり 、プロジェクトの締め切りが迫る時期にはこれ以上になることも想定されます。これは、クライアントに対して極めて質の高いアウトプットを短期間で提供することが求められるという、コンサルティング業務の本質に起因します。

一方で、ベインはこの厳しい現実を管理するための仕組みを積極的に導入しています。その一つが、社員のウェルビーイングを促進するための「B.E.S.T. (Balanced, Energized, Success, Team)」というプログラムです。また、残業時間の管理に対する意識が社内全体で高く、長く働いた期間があった場合は、その分をプロジェクト終了後などに休暇として取得することが推奨されています。実際に、プロジェクトの合間に1週間程度の長期休暇を取得してリフレッシュする社員も多いとの声があります。

さらに、個々のライフステージに合わせた柔軟な働き方が制度としてサポートされています。育児や介護のための休業はもちろん、パートタイム勤務へのシフト、自己研鑽のためのリスキル休職、パーソナルな理由での休職制度などが整備されています。

これらの事実を総合すると、ベインでの働き方は、9時5時の定時勤務を期待する場ではないことは明らかです。しかし、ファームは優秀な人材が長期的に活躍できるよう、仕事の波を乗りこなし、心身の健康を維持するための制度的・文化的なサポートを強化しています。成功するコンサルタントは、プロジェクトの山場を乗り切る高い集中力と体力を持つと同時に、ファームが提供する柔軟な制度を主体的に活用し、自身のエネルギーを管理する自己規律を兼ね備えていると言えるでしょう。

 

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